ゴシック美術
ロマネスク様式に続いて、12世紀から16世紀初頭にかけ中世ヨーロッパで勃興した美術様式。北方のゲルマン諸族がローマ帝国由来のキリスト教的文化に触発されて独自の文化を開花させた。この様式が最も典型的に現れたのは教会建築だと言われる。例えば、ビザンツ聖堂は半球型円蓋で覆われていることを特徴としたが、ゴシック伽藍ではドイツの美学者ヴォーリンガーが「垂直運動」と形容したような柱一構造の重層建築が志向されていく。このゴシック様式は、1137年ごろパリのサン=ドニ修道院長シュジェールによる建築を嚆矢とする。11世紀前半に、北フランスのパリを中心に始まったゴシック式伽藍は、12世紀未にかけて、サンス・ノワイヨン・サン=リス・ラン・ソワッソン、パリのノートル=ダム寺院と広がり、建築のための彫刻・絵画・工芸の発達を促しながら、当時の主流であったビザンティン様式からの大きく逸脱するだけでなく、細部描写や優雅で装飾的な表現を伴って、やがては、ルネサンス前の一大美術様式としてヨーロッパ中に広まり、世俗的主題への関心を示した国際ゴシック様式として発達を遂げた。
チマブーエ、ドゥッチョ、ジョット、シモーネ・マルティーニ、ロレンツェッティ兄弟等