日輪山真如寺
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しかし、掛川の真如寺は土佐山内家ゆかりの寺では終わらない。山内家の後に掛川に入った松平定勝、この人は徳川家康の異父弟にあたるが、その崇敬も集め、巨山聚鯨大和尚が真如寺を承継した。その定勝の嫡男の定吉は1603(慶長8)年突如として切腹して果て、真如寺の開基として祀られている。なぜ、定吉が突然に切腹したのか真相は明らかではないが、田宮虎彦の小説『鷺』では、家康の面前で鷺を射落としたが、家康に「無駄な殺生」だと叱責されたのが直接の原因とされている。自照院殿と号された定吉は寺墓地のほぼ中央の霊廟に祀られている。墓標には、「為自照院殿前遠州大守甲英額大居士也、于時元和七(1621)年七月十一日)、釈氏立之」と刻まれている。また、真如寺には父の定勝が描かせたという定吉の肖像画が伝えられている。
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